手すり1本で、玄関から外へ出られる|住宅改修と福祉用具を一緒に考える
「家の中は何とか動ける。でも、玄関の一段が怖くて外出しなくなった」
外出を止める原因は、大きな段差とは限りません。玄関の一段、靴を履く場所、手を置く場所、扉を開ける動作。その小さな連続に不安が重なることがあります。
実在する一人を特定する内容ではなく、在宅支援でよくある困りごとをもとに構成しています。
「デイサービスの日だけ、玄関で緊張する」
79歳のCさんは、室内ではつたい歩きでトイレへ行けます。ただ、玄関では靴を履くために片脚へ体重をかけ、段差をまたぎ、扉を開ける必要があります。外出前はいつも家族を呼び、気を使うため、散歩や買い物は減っていました。
Cさんの目標は「転ばないこと」だけではありません。朝、準備ができたら自分のタイミングで玄関を出て、近所へ行けることでした。
手すり一本だけで解決しない理由
手すりは有効なことがありますが、ただ壁に付ければよいわけではありません。Cさんの場合は、座って靴を履く場所、立ち上がる位置、手すりを握る高さ、段差の上り下り、扉の開閉が一続きです。
そこで、置き型手すりや固定式手すり、玄関いす、踏み台・段差解消、照明、滑りにくい履物などを組み合わせ、実際の動きを見ながら考えます。
PT・福祉用具専門相談員が見るポイント
- 靴を履くとき、片脚に寄りすぎていないか
- 立ち上がった直後に手すりへ届くか
- 手すりを「引っ張る」のではなく支えとして使える位置か
- 段差を上がった後、足を置く場所に余裕があるか
- 扉を開け閉めするときに身体が回りすぎないか
- 夜間や雨の日でも足元を確認できるか
生活は「玄関を出た後」まで続く
玄関で安定しても、そこから先に坂、道路、ゴミ出し場、送迎車までの距離があります。福祉用具を選ぶときは、家の中だけを切り取らず、どこへ行きたいのか、誰と会いたいのかまで聞きます。
モデル事例のCさんなら、まずデイサービスの送迎に安心して出られること。次にゴミ出し、近所のコンビニ、季節の散歩へと目標を広げられるかもしれません。
本人・家族・生活の変化
本人にとっては「待たなくていい」「自分で準備できる」こと。家族にとっては、毎朝の介助で急がせたり、腕を強く引いたりしなくてよいこと。生活全体では、外出そのものへの気持ちが少し戻ることです。
注意したいこと
手すりや踏み台は、設置位置や固定状態が合わないと、かえって転倒リスクになります。賃貸住宅や集合住宅では、工事の可否や共用部の扱いも確認が必要です。介護保険の住宅改修・福祉用具の対象になるかは、本人の状態と制度上の条件で変わるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談しましょう。
福祉用具は「外へ出るきっかけ」になる
手すりはただの棒ではありません。使い方と生活の目的に合えば、「今日も行ってみよう」と思えるきっかけになります。
株式会社あしすとでは、身体の評価だけでなく、実際の家の動線と「行きたい場所」から福祉用具を一緒に考えます。
※住宅改修・福祉用具の可否は、住環境と制度条件を含めた個別の確認が必要です。

